古典落語
鰻の幇間
価格:¥733
「野だいこ」の悲哀、泣かせます。
【あらすじ】
暑い盛りです。幇間が、とりまく客を見つけようと町中をさまよっています。と、向こうから笑いながら近づいてくる男がいます。誰だか思い出せないのですが「よっ、大将!」と声を掛けてお昼くらいおごってもらおうとします。なんとか調子を合わせて男の行きつけだという店で鰻を食べることになりますが、これがたいそう汚い店。旦那の手前、文句を言うわけにいきません。酒、香の物とやっていると、鰻がでてきます。「舌へのせるととろっと来ますねえ」などとたいこ持ちが持ち上げていると、相手の男が「気をつかうな。ゆっくりしていろ」と便所に一人で行ってしまいます。しかしいつまでたっても男が便所から帰ってきません。
【聴きどころ】
「幇間」とは男芸者、たいこ持ちのことです。たいこ持ちが客をとりまこうとして、逆に一杯食わされてしまう。実話をもとにしているという説もある名作です。座敷付きのたいこ持ちではない「野だいこ」の必死さがこの噺の面白さのひとつです。このたいこ持ちは、とっておきの十円札を出す羽目になりますが、丸めて隠していたお札を広げると、また丸まってしまうという、志ん橋師匠独特のギャグは悲哀すら感じさせます。またたいこ持ちが、自分で払わなくちゃいけないとわかったとたん、鰻はもとより、猪口から掛軸にいたるまで店のすべてにケチをつける場面は噺家さんによりアレンジが違い、聴きどころです。
【もうひと言】
この噺を得意にしていた噺家というと、まず八代目桂文楽が思い起こされますが、志ん橋師匠の大師匠である五代目古今亭志ん生、六代目三遊亭圓生、八代目三笑亭可楽、そして自らも幇間の経験があったという三代目春風亭柳好など、名人たちがそれぞれに工夫しています。いろいろと聞き比べてみるのも楽しいものです。
[収録:2008年7月16日 お江戸日本橋亭(東京・三越前)]
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プロフィール
古今亭志ん橋
1944年、東京都墨田区江東橋出身。63年、都立第四商業高校を卒業し、69年、古今亭志ん朝に入門。72年に「志ん太」で前座になる。75年に二ツ目、82年に真打昇進し、六代目古今亭志ん橋を襲名。76年第1回国立劇場花形演芸新人賞、78年日刊飛切落語会努力賞、86年に第2回台東区浅草演芸大賞新人賞、86年文化庁芸術祭賞団体賞などを受賞。古今亭の正統派を受け継ぐさわやかな芸風と、江戸風物への深い造詣から生まれる情感は出色。とくに庶民の情愛表現の緻密さと豊かさに定評がある。出囃子は「大拍子」。
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このアーティストの作品(全4件)
試聴 | タイトル | 出演者名 | 価格 |
---|---|---|---|
薮入り |
古今亭志ん橋 | ¥733 | |
不精床 |
古今亭志ん橋 | ¥550 | |
鰻の幇間 |
古今亭志ん橋 | ¥733 | |
柳田格之進 |
古今亭志ん橋 | ¥733 |
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