落語研究室　第23回〈一攫千金〉

　立川流という落語会のインディーズにあって、個性と研鑽を競うなかでも、いまや立川流四天王と称される、立川談笑。
ときに、その思いきった古典改作の手法には目を剥くご通家もあるかもしれません。

それでも、そんなボーダーを往還する噺をつくりあげるためには、愛して止まない落語にたいする周到な研究があるはずです。
もちろん、談笑師匠が声高にそんなことを語ることはありません。
いつもチャーミングな高座がわたしたちの前にあるだけです。

「落語研究室」では、そんな談笑師の魅力的な落語の秘密に迫りながら、毎回楽しいおしゃべりが繰り広げられます。
研究員は、談笑師のほかに、年間350回も落語会に足を運ぶという聴き巧者の広瀬和生さんと、三味線の技量とユニークな個性で落語会にひっぱりだこの寄席囃子方の恩田えりさん。
広瀬さんの的を射て軽快な問題提議で、談笑師が大いに語ります。
※毎回締め括りは、えりさんの演奏で名人の出囃子をお楽しみください。


さて第23回は、年の瀬にふさわしい目出度いテーマ〈一攫千金〉。
年末ジャンボ宝くじを買われた方も多いのでは？
研究室でも初っ端から、えりさんの「大金」当選経験に大盛り上がり。

「人生、人間、金じゃないよ」と言いたいけれど、
お金に翻弄される木の葉のような人の心もまた真実。
前回テーマ「富久」での激しいアップダウンもまた然り。
「落語やる身としては、味わってみたいな、その有頂天」（談笑師）

庶民が一攫千金を夢見た富籤も、江戸の一大イベントでした。
人気があるからこそ落語の素材にもなるんですね。
談笑教授の「富籤当選発表の仕方」講座は聴きどころ。

富籤の噺と、骨董で思いがけない大儲けをする噺……、
我らが研究員には、どちらの噺も突っ込みどころ満載のようで
落語界を震撼とさせる批評が飛び交います。
「いやあ、研究室冥利に尽きるなあ」

鳶の社長だった談笑師の御父上の、ある日の後ろ姿、
これがもう楽しい。
「あたたかい家庭の風景ですねえ」

エンディングは、ほんとうに面白い「宿屋の富」を演じる、
いまや快進撃の旗手、桃月庵白酒師匠の出囃子「江戸」で。



■「立川談笑の落語研究室」は、毎月第2・第4金曜日に配信されます。
次回・第24回の研究テーマは、ズバリ《立川談笑!!》です。
どうぞお楽しみに！

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立川談笑(たてかわだんしょう)

落語家

1965年、東京都江東区北砂出身。早稲田大学法学部卒業後、92年に立川談志に入門、談生を名乗る。96年、二つ目になり6代目立川談笑を襲名。2005年に真打昇進。06年、国立演芸場の6月上席で、83年の落語協会脱会以後、立川流としては初定席を勤めた。テレビやラジオのレポーターとしても活躍中。代表作といわれる『シャブ浜』など、古典の改作を得意とし、おなじみの定番もただでは済まされぬ爆笑ネタに。独演会は常に完売の人気者である。出囃子は『野球拳』。

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