天災

八五郎のワイルドさにさらに磨きがかかる（解説付き）

【あらすじ】
とてつもない親不孝者の八五郎。この八五郎が大家のところへやって来て離縁状を書いて欲しいと言うので事情を聞いてみると、何でも八五郎は毎日実の母親を平気で撲ったり蹴ったりしているとのこと。その話を聞いた大家はこのままではいけないと、八五郎に心学者の紅羅坊名丸のところへ行くよう命じます。そこで八五郎は渋々紅羅坊から心学の話を聞くことになったのですが、案に相違して話を聞くうち、すっかり彼の語る心学に心服してしまいます。といっても、そこは八五郎のことですから、紅羅坊の話を生半可にしか理解しておらず、友だちに学んだばかりの心学を披露しようとしても、どうしても話が頓珍漢になってしまい……。

【聴きどころ】
本作は古典落語の名作の一つですが、古典の名作ほど噺家を萎縮させてしまうものはありません。多くの噺家はそういう演目を扱う時、どうしても古い型をそのまま墨守してしまいがちになります。ところが談笑師はそんな名作が相手でもいつものように談笑流に改作してしまいます。つまり、落語が誇るべき伝承芸であることを承知した上で一度それを叩き壊し、もう一度新たに伝承に連ねるだけの値打ちのある作品に仕上げる、ということです。そんな談笑師の手際がこの作品でも冴えに冴えています。

【もうひと言】
相変わらず談笑師の枕はぶっ飛んでいます。もちろん普通の放送では絶対に流すことができないネタばかり。そういう意味では談笑師の落語はこういう形での配信で聞くのが一番ふさわしいのかもしれません。

[収録：2009年3月23日　西新宿ハーモニックホール（東京）]

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