卒業写真

80年代の純情青春物語

【あらすじ】
舞台は1980年頃の長野県飯山。高校３年生のシゲルは写真部の部長で、その頃日本にようやく現れてきたオタクの先駆けのような男の子です。このシゲルが同級生で帰国子女の酒井麻衣子さんに恋をしました。シゲルの親友のマァ坊は二人はまるで釣り合わないからこの恋はあきらめろとアドバイスしますが、シゲルは何も麻衣子さんとつきあいたいわけではなくて、ただ二人が同じ高校に通った証しが欲しいと言うのです。そこでシゲルは卒業アルバムの編集委員になり、公然と麻衣子さんの写真を撮ることになるのですが……。

【聴きどころ】
小ゑん節爆発の爆笑ものですが、小道具に「タケシのオールナイトニッポン」、カメラのオリンパスＯＭ１、雑誌では「ポパイ」「ブルータス」などが出て来て、昭和40年前後に生まれた人たちにとっては、更なるドンピシャのネタになっています。けれどもそうした笑い以上に注目したいのはこの噺のオチでしょう。笑いにあふれるこの一席がオチによって美しい青春の物語に一変します。原案は気鋭の落語作家・木下真之。

【もうひと言】
小ゑんファンなら誰もが知る通り、師の出囃子は「ぎっちょんちょん」。そして、この時の高座の出囃子は小ゑん師がわざわざ特注したジャズバージョンの「ぎっちょんちょん」です。小ゑんファンならばこれだけでもこの噺を聴く価値があります。

[収録：2009年2月28日　無限落語＠お江戸日本橋亭（東京・三越前）]

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