四段目

定吉密室劇場（落語随談付き）

【あらすじ】
朝方に伊勢屋へお使いに出た小僧の定吉が、日暮れ時になってやっと帰ってきました。また好きな芝居を見ていたのだろうと問いつめる旦那に、「あたしは芝居なんて大っ嫌いです」とうそぶく定吉。しかしそこは子供、旦那の誘導尋問にまんまとはまって、いままで芝居を見ていたことをうっかり白状してしまいます。罰として蔵に放り込まれますが、朝から何も食べてない定吉はお腹がすいてしかたありません。蔵の前を通りかかった女中のお清にも無視されてしまいます。気を紛らわそうと、見てきたばかりの「忠臣蔵」の四段目をひとりで演じ始めます。

【聴きどころ】
おなじみ「初天神」など、「キレる子供」を演じたら遊雀師匠は最強です。芝居見物を白状してしまうところや、蔵のなかで一人芝居を演じながら、お腹がすいていることに改めて気がついて、我慢ができなくなってしまうところなど、子供らしくてかわいらしいのですが、相手にされないと、「もっと定吉に自由を！」と絶叫し始めます。芝居噺ですが、歌舞伎の知識がなくても、楽しめる一席です。

【もうひと言】
別名「蔵丁稚」。「四段目」はもちろん、歌舞伎の代表的な演目「仮名手本忠臣蔵」の前半のクライマックスで、殿中で刃傷沙汰をした塩谷判官が切腹をしようとするところに、臣下の大星由良之助が最後の別れに駆けつける場面です。

[収録：2008年7月5日　コア石響（東京・四谷）]

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