シンデレラ伝説

弟子の新作を師匠が演じる

【あらすじ】
金坊が父親に昔話をせがみます。おごそかに「桃太郎」を話し始めた父親に「そんなのじゃなくて、外国の話がいい！」とだだをこねる金坊。焦った父親に金坊は「シンデレラ」をリクエスト。シンデレラが二人の義理の姉と合わせれば三人姉妹なのを金坊から教えられた父親はなあんだ、それだったら知ってると自信たっぷりに「いちばん上のお姉さんは木の家を建てて、次のお姉さんはワラの家を建てて…」。それってシンデレラだっけ？　お父さん！

【聴きどころ】
お弟子さんである三遊亭白鳥さんの作った噺を、円丈師匠が高座にかけるという珍しいパターンです。父親が「すべての昔話は桃太郎に還る」と最初に宣言をしたとおり「シンデレラ」がなぜか最後には桃太郎になってしまうという、呆れてしまうような強引で奇抜な展開には、古典噺できれいにならした土壌を、ショベルカーで掘りかえすような爽快感があります。

【もうひと言】
円丈師匠から白鳥さんへと脈々と流れる「新作スピリット」が息づいています。白鳥師は既存の噺を解体するのが得意で、どちらかというと、円丈師は骨組みがないところから噺を作り上げていくのが得意。そんな師弟の個性の違いも浮き上がって興味深い一席です。

［収録：2010年8月17日　内幸町ホール（東京）］

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