幸せの石

「言い立て」とオチに小ゑんセンスが光る！

【あらすじ】
ガスの検針略してガス検をする春日井秀子は35歳の独身女性。結婚願望はあるのですが、職業柄男性との出会いがまったくありません。そんな秀子がある時、ガス検の最中に小さな光る石を拾います。一体この石は何なのか？　秀子の上司に大学で地球物理学を学んだ後ガス会社に入社したという変わり種の景山係長がいます。その景山に尋ねると、これは隕鉄、すなわち燃え尽きずに地上に落ちてきた隕石とのこと。秀子はこの隕鉄を握りしめながら流れ星に向かって願い事を口にすればその願いが叶うと信じます。しかし、そこには問題が一つありました。願い事は流れ星が落ちるまでの間に同じ文句を3度繰り返さなければならないのです。そこで秀子は早口言葉の特訓をして、流れ星が大量に降る日に備えるのですが……。

【聴きどころ】
落語には言い立てというものがあります。有名なところでは寿限無の名前や、『金明竹』の商人の口上、『たらちね』の新婦の自己紹介などですが、この『幸せの石』は新作落語なのにこの言い立てがあります。それが景山係長の言う流星群の名前と発生日の羅列です。星オタクの小ゑん師ならではのこの言い立てだけでもこの噺を聞く値打ちがありますが、さらに面白いのが秀子のやる早口言葉の羅列。早口言葉で観客を爆笑させる小ゑん師のセンスは尋常ではありません。

【もうひと言】
落語は「一オチ二台詞三仕方」と言って、オチが何よりも重要とされていますが、どれほど上手く作られた新作落語でもオチだけは今一つという作品が少なくないのも事実です。そんな中、この『幸せの石』のオチはずば抜けてよく出来たオチとなっています。

［収録：無限落語］

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