コンビニ地球家族

エコロジーもほどほどに（解説付き）

【あらすじ】
夜中にタクシーの運転手とケンカして知らない土地で投げ出されてしまった男。途方に暮れますが「エコロジーコンビニエンス・地球家族」という店を見つけて、ここで夜を明かそうと飛び込みます。しかしそこは普通のコンビニではありませんでした。気味の悪い微笑みの店長は五十がらみのおやじですが、エコロジーにこだわるあまり、客に歯磨き粉をチューブから出して直接渡したり、おにぎりを握ってそのまま手渡ししたりします。スペシャルドリンクはなんと唾液で発酵させた自家製。げんなりした男がしばらくして店を出ようとすると「昨日の朝からお客さんはあなただけなんです、行かないで！」と泣きつかれました。

【聴きどころ】
みんなが口をそろえて「エコ」を唱えるようになった現在ですが、どこか浅薄な印象をぬぐえません。そんな状況をコミカルに皮肉っていて、まさしく「今どき」の噺です。鯉朝師匠の分身のような主人公の男が、不気味なエコロジー・マニアの中年男にキレまくりです。

【もうひと言】
瀧川鯉昇一門の飲み会がはねたあとの早朝の情景そのままのような噺です。声は大きくても意味のない会話が妙に落語的。伝え聞く、鯉昇一門のどたばたぶりは有名ですが、新作落語のアイディアには困らないかもしれません。一門の様子はこちらでも。
http://www016.upp.so-net.ne.jp/risho/0004/ichimon/monka/index.html

[収録：2008年12月17日　お江戸日本橋亭（東京・三越前）]

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