夏泥

泥棒は慈善事業か　（落語随談付き）

【あらすじ】
戸締まりも甘くなる夏の宵、貧乏長屋に盗みに入る泥棒が主人公です。忍び込んだ泥棒は寝ている男を起こして、「金を出せ、さもなきゃ脇差しで突き殺すぞ」と脅したまではいいのですが、なんとこの住人、一文無しでした。この一文無し、「お金がなくてどうにもならないから、死のうと思っていたんだ。ちょうどいいや、殺してくれ」と開き直るではありませんか。人のいい泥棒はまさか見殺しにもできなかろうと、質屋に入っているという道具箱を請け出す金を一文無しに恵んで、助けてやろうとしますが、これが運の尽きでした。

【聴きどころ】
「殺してくれっ」と開き直られて、「声がでかいよ」とうろたえて、ますます深みに入っていく泥棒がなんとも可笑しい。落語にはあんまり立派な泥棒は出てきません。どっちかというと情けないほうが落語の世界の常連です。二ツ目時代の録音音源。

【もうひと言】
男っぽい、切れのいい語り口は師匠の雲助師ゆずりです。龍玉師匠に楽屋で入門のきっかけを聞いてみると、「一目惚れですかね」と語ってくれました。

［収録：2007年9月１４日　コア石響（東京・四谷）］　

《携帯電話・スマートフォン（iPhone、Xperia等）、通信機能内蔵タブレット（iPad、GALAPAGOS等）、通信機能内蔵音楽プレーヤー（iPodTouch等）等へは「ダウンロード及び保存」はできません。お手数ですがパソコンでダウンロード後、お手持ちのデバイスへ同期頂き、お楽しみください。》