いし

平凡な独身サラリーマンが演じる不条理コメディ　（解説付き）

【あらすじ】
月曜日の朝、アパートの部屋でひとりの男が目を覚ましました。35歳独身、どこにでもいそうなさえない会社員です。これからまたいつもと変わらない一週間が始まるのです。男はぶつくさ独り言をいいながら顔を洗い、汚れたワイシャツに100円ショップのネクタイを締めてスーツを着るとアパートのドアを開けました。「何だこれ？」2階の廊下の部屋の前に石が転がっています。大きめのなかなか形のいい自然石です。とりあえず危ないから脇にどかしました。火曜日の朝、いつものように出勤しようとドアを開けると、今度は石が2個置いてあります。水曜日の朝には3個。誰が何のために？　気味が悪くなった男は、誰が置いていくのか突き止めようとしますが、ちょっとした隙に石は４個5個６個と毎朝増えていきます。土曜日の夜、ムキになった男は徹夜で見張ることにしましたが…。

【聴きどころ】
サゲの部分以外は全編男のモノローグで語られていきます。喬太郎師は男にいかにも現代ふうの言葉遣いをさせて、いまどきの30半ばの独身サラリーマンの感じをよく出しています。また師の得意技でもある、登場人物と演者の言葉が錯綜する“くすぐり”が随所に入ってきて聴く者を離しません。

【ひと言】
古典から新作、大ロマンからスラップスティックまで縦横無尽な喬太郎師のレパートリーの中でも、またひと味違った作品に出逢った喜びを与えてくれるでしょう。まくらで語られる日大落研の先輩から聞いたという“爆笑怪談”も一聴の価値ありです。

[収録：2007年8月30日　お江戸日本橋亭]

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