寝床

義太夫の会、大広間は戦場のごとく

【あらすじ】
義太夫の稽古に凝っている大旦那、ときどき、その喉を披露するために長屋の店子や奉公人を集めて義太夫の会を催します。上等なお酒やお膳を用意するのですが、その義太夫がどうにもひどい代物なので、誰もが仮病を使ったり親を危篤にしたりと、必死の嘘をついてご招待を逃れようとします。誰も来ないと聞いた大旦那は「長屋を出ていけ、店立てだ！」と大荒れ。番頭さん以下ご機嫌をとるのに四苦八苦。ようよう宥めて義太夫のお披露目が始まりますが……。

【聴きどころ】
大旦那がウキウキと宴席の準備を指図しながら、ちょっと喉ならし。殺人的だという義太夫の怖さがほの見える文左衛門師匠の唸り声には凄味があります。また、嘘をつく店子たちの中にお馴染みの噺家さんたちの名前が連なったり、大旦那のご機嫌をとる方法など、ちょっと他にはない笑いの種が途切れることなく続きます。

【もうひとこと】
土手の堰を切ったような怒涛の義太夫のなかで、やがて大酒を飲んで耐えていたみんなは、そのまま大広間で寝入ってしまうのですが、文左衛門師匠はぼそりと呟きます。「ここが、わからない。なんでみんな寝られるの？」うーん。

※なお、文左師匠の挑戦的な落語は、まくらでほんのちょっとだけカットした箇所があります。ごめんなさい。

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