古典落語

転宅

価格：￥550

収録時間 :: 18:24
データ形式 :: MP3
データ容量 :: 16.8MB

提供元 :: 株式会社ラジオカフェ
リリース日 :: 09年8月28日
カテゴリ :: 古典落語

おいしい話には裏がある

【あらすじ】
浜町の新道にある黒板塀に見越しの松、どう見てもお妾さんの家の前で、旦那が「先ほど渡した五十円に、残り五十円は明日持ってくる」とお妾さんと話しています。それを脇で聞いていた泥棒は、仕事をしようと家に忍び込みます。ところが妾のお菊はとりたてて騒ぎもせず「じつはあたしも昔は泥棒だった」と打ち明けるではありませんか。お菊がいうには「旦那とはもう手が切れる。一人は心細いから所帯を持ちたい。おまえさんみたいな男らしい男が好きだから、私と夫婦になってくれないか」。すこぶるいい女のお菊に言い寄られた泥棒は喜んで上の空。盃もとりかわし、泊まっていこうとすると「二階に用心棒がいるから今日は泊まらないで、明日の昼前に来るよう」にとお菊に言われます。すっかり有頂天になった泥棒が翌日訪ねていくと……。

【聴きどころ】
凶悪な犯罪には無縁の間抜けな泥棒と、それを手玉にとる抜け目のない女の駆け引きが楽しい、おなじみの噺です。お菊は色っぽくて、せりふも立て板に水の調子良さ。泥棒がお菊から盗もうと思った五十円より多い、自分の金八十円を預けてしまうあたりは、滑稽を通り越して哀れを誘います。窓里師匠はケレンみのない語りで、泥棒の間抜けぶりが際立ちます。

【もうひと言】
騙（だま）すことを「騙（かた）る」といいます。サゲはこの言葉の洒落になっています。

[収録：2009年5月21日　あうるすぽっとT（東京・東池袋）]

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プロフィール

三遊亭窓里

落語家

1959年、埼玉県川越市生まれ。県立志木高校卒。80年、六代目三遊亭圓窓に入門し、前座名「窓里」を名乗る。85年、二つ目に昇進。94年、NHK新人演芸大賞落語部門優秀賞を受賞。95年、川越市議会議員に当選。以降も政治と落語の二足のワラジを見事に履きこなし、2007年には４期目に突入した。96年、真打ちに昇進。埼玉県消防協会から消防功労賞を受賞。骨髄バンクドナーに登録。翌年、NHK川越文化センターの江戸落語講座の講師に。文教常任委員会副委員長に就任。著書に『自画自賛』。趣味はピアノ演奏と献血、日本の町並み探訪。また「笑いと人生」「男の決断」などのテーマで講演も行う。座右の銘は「行雲流水」「最高より最良」。ノーマライゼーションの精神に基き、落語による明るい社会の建設をめざして奮闘中。