古典落語
引越しの夢
価格:¥550
台詞を言わない登場人物
【あらすじ】
男所帯のある商家で、今日から若くて美人の女中さんが働くことになりました。当時の商家は基本的に番頭から丁稚に至るまで皆住み込みで働いています。つまり、今晩からその女中さんが同じ屋根の下で寝泊まりすることになるわけです。さて、そうなると店の男衆は仕事どころではなくなってしまいます。何とかあの女中さんをものにできないものかと、不届きな輩は女中部屋に夜這いに行こうと企みます。ところが、女将さんの機転で女中さんが寝ている二階の部屋に忍んで行こうとすると、階段の上に蓋がしてあって二階へ上がることが出来ません。そこで考えた末に台所のつり棚に足をかけて二階に上がろうとしたのですが、生憎とそのつり棚が落ちてしまい……
【聴きどころ】
この噺の主人公は一応夜這いに出かける三人の男ということになっています。しかし、男たちに狙われる女中もまた重要な登場人物であることは言うまでもありません。それなのにこの女中は『引越しの夢』の中でひと言も台詞を言いません。重要な人物に敢えて台詞を言わせないまま存在感をあらわす、それも落語ならではの話の作り方なのです。
【もうひと言】
落語の世界ではいわゆる艶笑噺のことをバレ噺と呼んでいます。この「引越しの夢」は夜這いをテーマにしていますが、そのくせバレ噺的なところがまるでありません。下卑た話題でも綺麗に聞かせてみせるのは落語の力であり、またこの噺を演じる扇遊師ならではの持ち味でもあります。
[収録:2009年5月7日 横浜にぎわい座(横浜市中区)]
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プロフィール
入船亭扇遊
1972年に九代目入船亭扇橋に入門。前座名「扇ぽう」を名乗る。77年に二つ目昇進で「扇好」、85年に真打昇進で「扇遊」と改名した。淀みないしゃべりと明るく粋な芸風で、観客を江戸情緒の世界へと引き込む古典落語の名手である。表情豊かに艶っぽい女を見事に演じる。「携帯電話も持っていない古いタイプの人間」とは本人の談。得意ネタは「明鳥」「不動坊火焔」など。92年の「入船亭扇遊独演会」にて、文部省芸術祭賞を受賞。本名・岩田茂、1953年、静岡県生まれ。落語協会所属。
このアーティストの作品(全7件)
試聴 | タイトル | 出演者名 | 価格 |
---|---|---|---|
引越しの夢 |
入船亭扇遊 | ¥550 | |
道灌 |
入船亭扇遊 | ¥733 | |
尻餅 |
入船亭扇遊 | ¥550 | |
五人廻し |
入船亭扇遊 | ¥733 | |
試し酒 |
入船亭扇遊 | ¥733 |
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