クリスマスの夜

クリスマスを舞台にした、さわやかな新作人情噺(解説付き）

【あらすじ】
クリスマスイブの夜、閑静な住宅街に現れたのは、サンタの格好をしたどことなく頼りないコソ泥。さっそく一軒の家に入り込んでひと仕事しようとすると、奥から幼い兄弟が出てきました。「お前は誰だ！」「お、おじちゃんは宅配便だよ」コソ泥は何とかごまかそうとしますが、勇敢なお兄ちゃんが包丁を持って身構えたので思わずひるんでしまいます。なだめすかしているうちに、この家は母子家庭で、母親はキャバクラのバイトに行っていることがわかります。クリスマスだというのにカップ麺を食べている兄弟を不憫に思い、コソ泥は外に逃げ出したにもかかわらずケーキとチキンを買って再び家に戻ってきます。３人でささやかなクリスマスパーティーをしているところへ近所の通報で刑事がやってきました。年貢の納め時だとすっかり観念したコソ泥でしたが…。

【聴きどころ】
随所に緩急自在のクスグリを挟みながらコソ泥、幼い兄弟、刑事が織りなす三者三様の“情”をわかりやすく描いています。それぞれに好感を持ちますが、とくに幼い弟のケンジくんが何とも可愛いです。

【もうひと言】
天どんさんは、古典落語でおなじみの言い回しをさりげなく登場人物のセリフに取り込むのが上手です。また、まくらなどで独り言のようにくすぐりを空転させて笑いをとるのですが、その本音なのかネタなのかわからない絶妙な加減が見事です。

[収録：2007年12月14日　お江戸日本橋亭（東京・三越前）]

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