たらちね

言葉の格差夫婦（落語随談付き）

【あらすじ】
大家さんが八五郎に縁談をもってきます。娘の年は二十歳、器量も十人並み、嫁入り道具もきちんと持ってくるといいます。そんなに条件の揃った娘が自分のところに来るのは話がうますぎる、何かキズがあるんじゃないかと疑う八五郎に、じつは漢学者の父親から厳しく躾られ、言葉が丁寧すぎるのがキズだということです。嫁に来てくれるだけでありがたいと大喜びの八五郎、日を改めてという大家さんをせかして、その晩にお輿入れということになりました。大家さんは早くに帰ってしまい、二人きりになり、八五郎がお嫁さんの名前を聞くと、「……自ら事の姓名を問いたもうや……」と始まる嫁にたじたじの八五郎でした。

【聴きどころ】
八五郎のべらんめえ口調とお嫁さんの口上はまるでかみ合わないのですが、口調のおかしさだけではなく、この二人は仲良くやっていくのではないかと思わせる噺です。お輿入れを待っている間に八五郎の妄想が突っ走る様子もほほえましく、笑いを誘います。今ノリにノっている喬太郎師匠がお嫁さんをかわいらしく演じています。

【もうひと言】
漢文口調の訳のわからなさを題材にした噺は、「一目上り」など多くあります。江戸の人に好まれたのでしょう。上方では「延陽伯」といい、「縁良う掃く」の洒落。

[収録：2008年4月5日　コア石響（東京・四谷）]

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