仔羊物語

白鳥得意技！メルヘンの世界へ～学校給食は命を救うか？

【あらすじ】
北海道の貧乏な牧場です。小学生のキイチ君は子羊のハナコを可愛がっていますが、毛が全然生えないのを心配しています。でも、トシオおじさんが名作アニメ「アルプスの少女ハイジ」に出てくる子やぎのユキちゃんにそっくりだとほめてくれるので、うれしく思っていました。45歳で独身のトシオおじさんはキイチ君にはちょっとしたヒーローなのです。ウーパールーパー、昔のアイドル写真集、ソフビ人形…おじさんの部屋にはキイチ君にとっては珍しい、おじさんの子供の頃の想い出の品が所狭しと置かれています。壁に貼られた給食の献立表…それを見ながらおじさんは、貧乏で給食を食べられなかった友だちを助けた話しをキイチ君にしてくれます。そしてその夜、キイチ君は資金繰りに困った両親が役に立たないハナコを売り払う相談をしているのを耳にしてしまいます。驚いたキイチ君は、旭山動物園に花子を連れて行こうと決心して家を抜け出します。

【聴きどころ】
白鳥師匠は童話好きとしても知られていて、全体的には童話風の趣です。60年代的なノスタルジックなクスグリから現在のサブカルまで、いろんなギャグが散りばめられていますが、骨格はなんと「勧進帳」です。映画のようなドラマティックな趣もあり、「大脱走」「虎の尾を踏む男たち」「サウンド・オブ・ミュージック」などを連想させます。

【もうひと言】
新作はすべて師匠自らの創作。なんと100本以上の作品があるそうです。複雑なプロットを笑わせる話芸はゲームからグルメまで、雑誌などで執筆もこなす師匠の面目躍如です。林家彦いち・春風亭昇太・柳家喬太郎で構成される新作落語のグループ「ＳＷＡ」のメンバーでもあります。

[2008年9月17日　お江戸日本橋亭（東京・三越前）]

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