次の御用日

イタズラ転じて大騒動。体調を整えてお聴きあれ。（解説付き）

【あらすじ】
堅気屋佐兵衛の店に勤める丁稚常吉はご飯を食べている途中に呼び出されて、旦那の一人娘・いとのお針のお稽古のお供をするように命じられます。ところが、途中の住友の浜で、法被を頭からかぶった無気味な大男が立っています。これは堅気屋の家作に住む、天王寺屋藤吉というやくざな纏持ちなのですが、いたずら心を起こして「あーっ！」と叫び声を出して二人を脅かします。いとは気絶してしまい、息は吹き返したものの、かわいそうなことに記憶喪失になってしまいます。怒った父親佐兵衛は畏れながらと、番所に訴えます。

【聴きどころ】
ブラック師の流暢な関西弁が楽しめる上方落語です。東京では別称、『しゃっくり裁判』『しゃっくり政談』という題名で演じられますが、ブラック師の「あーっ」はしゃっくりというよりは絶叫。反対に、いとはんと常吉のやりとりがかわいらしくて（ブラック師のイメージを考えると、なおさら）、聞きものです。ちなみに常吉がお嬢さんを「とおはん」と呼んでいますが、これは大阪・船場の商家の言葉でお嬢さんのことを指します。

【もうひと言】
六代目笑福亭松鶴の弟子・三代目笑福亭仁鶴が現在演じる型とほぼ同じようです。桂三枝門下でもあったブラック師、マクラで松鶴に可愛がられた、と述懐していますが、六代目直伝なのでしょうか。

[収録：2007年11月29日　お江戸日本橋亭]

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