其の十六 －生きとし生ける－

広場の孤独？

もし生まれ変わったら何になりたいか、ではなく、いまからでも何にでもなれるような気がしている。いまからでも学校の先生や演劇の役者になりたいと思うときがある。それもこれも、人が大勢居るところの寂しさがなんともいえずに好きだから。そういう意味では、寄席も大好き。楽屋以外は全部知らない人が大勢いる、その寂しさがたまらない。快感と不安が同居するところが好き。空想ならぬ妄想の世界に浸って、いつもなにか違う人生を夢見ている鯉昇師匠。それがあのふわふわした高座に溢れてくるのでしょう。
また、飼っていたインコのピーちゃん、師匠の家にいたワンちゃんとのマル秘エピソードには大笑い。


瀧川鯉昇の高座といえば、爆笑の落語のみならず、噺に入るまえの、あの「まくら」の愉しさにも定評あり。座布団に腰をおとして「はあ～」と息をもらしただけで客席には笑いのさざなみが広がります。いったいどこまでがホントでどこからがウソなのか、虚実綯い交ぜの鯉昇ワンダーワールドの入口です。そんな鯉昇師匠の不思議の源泉・謎の私生活までたっぷりお聞きしていきます。落語とはやや違う語り口ですが、得も言われぬふわふわの浮遊感はそのまんま。一度聴けば癖になってしまうでしょう。

＊「鯉昇の昼寝まくら」は、毎月第１・第３金曜日に連続配信されます。


次回「鯉昇の昼寝まくら　其の十七　噺家の年輪」の配信は、2010年2月5日です。おたのしみに。

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