居残り佐平次

圓丈古典の最高峰・三遊亭圓生直伝の本寸法「居残り」

【あらすじ】
女郎買いに行って支払う金がない時、仲間の一人が店に残り、友人が金を持ってきてくれるのを泊まりがけで待ちました。これを「居残り」と言います。この居残りを稼業にしている佐平次という男が友だちとかたらって品川へと遊びに行き、そこで居残りを始めることになります。さすが商売にしているだけあって、佐平次の居残りぶりは馴れたもので、本来なら小さくなっているべき居残りのくせに、女郎屋で水を得た魚のように振る舞い……。

【聴きどころ】
「古典落語はこれからどんどん時代に通用しなくなっていくだろう」と断言し、一時期は新作落語しかしなかった円丈師が、最近になって再び古典落語を演じるようになりました。現代には通用しないと言いはなった古典を改めて高座にかけるだけあって、円丈師の古典落語はあくまでも現代的です。たとえば従来の落語通と言われる人であれば疑問にすら思っていない「なぜ居残りなんかさせるのか？　さっさと警察に突き出せばいいじゃないか」という根本的な疑問に答えるなど、円丈師はあくまでも現代人を相手にこの古典の名作を語っています。

【もうひと言】
三遊亭円丈といえば誰もがすぐに新作落語を思い浮かべるでしょう。しかし、三遊亭円丈は新作の円丈でありながら、古典にも造詣の深い三遊亭の噺家でもあったのです。この噺では新作の円丈師ならではのくすぐりでも楽しめますが、それ以上に古典のテクニシャンでもあった円丈師の新たな一面も知ることができます。

[収録：2009年7月4日　にぎわい座（横浜・桜木町）]

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