月の姫

かぐや姫の誤算

【あらすじ】
地球から帰ってきたかぐや姫。月の天帝と結婚したけれどうまくいかず、離婚してしまいました。今宵も家来のふみまろを相手に、たまった不満をぶちまけます。家事が一切できず、高慢な性格の自分を棚に上げて、天帝は性格が細かい、文句が多いと悪口をいったあげく、結婚する前は「地球ではモテモテだったのよ～」と思い出にひたります。「だったらもういっぺん地球に行ってみたらどうです？」とふみまろに提案されてその気になります。うまくいかなかったら、満月の晩に光に乗って迎えに行くというふみまろの言葉を信じ、かぐや姫はリベンジを賭けて地球に向かいますが……。

【聴きどころ】
地球でちやほやされた経験を持つかぐや姫はタカビー。でもどこか可愛げがあって憎めません。一方で外面はいいけど家庭では口うるさい夫・天帝。そんな男にあれこれ細かく小言をいわれて、かぐや姫は不満がたまります。かぐや姫の行き所のないイライラに共感する女性も多いかもしれません。「こんなハズじゃなかったのに……」そんな女性の本音を描いて、兼好師匠の話術が冴えます。後半、地球での迫力ある夫婦げんかもリアリティがあって、聞かせます。

【もうひと言】
兼好師匠自作の新作。女性の視点の落語というのは不思議となかなかないものです。80年代バブル期に女性に振り回された記憶がこの新作を生んだというのは、うがちすぎでしょうか。

[2009年7月14日　お江戸日本橋亭（東京・三越前）]

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