古典落語

盃の殿様

価格：￥733

収録時間 :: 40:06
データ形式 :: MP3
データ容量 :: 37.6MB

提供元 :: 株式会社ラジオカフェ
リリース日 :: 08年3月28日
カテゴリ :: 古典落語

花魁てふお薬、効きすぎに注意（落語随談付き）

【あらすじ】
あるお大名が参勤交代の心労からか、江戸屋敷で気鬱症になってしまいます。茶坊主の珍斎が殿様の気を紛らわそうと、吉原の遊女を描いた歌川豊国の錦絵を見せますと、殿様は吉原に行きたいと言い出しますが、堅物のご意見番・上村弥十郎が聞き入れるわけもありません。「ならばもう薬を飲まん」と駄々をこねる殿様に見物だけならばと許しが出て、大名行列を仕立てて廓で見物です。そのままですむわけもなく、一晩泊まります。殿様の気も晴れて病気は快復し、花魁・花扇のもとに毎日のように通うことに……。江戸勤めも終わり国許に帰らなければならなくなった殿様は、別れ際に花扇の仕掛け（打掛）をもらい受け、絢爛豪華な蒔絵を施した大盃で別れの酒を交わします。江戸から三百里離れた郷里に帰ってきた殿様、上原弥十郎に仕掛けを着せて花扇のまねをさせて江戸を偲びますが、「ここに花扇がいないのは寂しい」と、盃を江戸の花扇のもとに遣わすよう、三百里を十日で走ると評判の足軽・早見東作に言いつけます。

【聴きどころ】
世間知らずの殿様を笑うような噺がいくつかありますが、「目黒のさんま」などとはまたひと味違って、三百里（約1200キロ）も離れて盃を酌み交わすという、大らかで風雅な味わいのある噺です。国許の家老と殿様が遠く離れて盃を交わすという原話があるそうです。

【もうひと言】
小満ん師匠、六代目三遊亭圓生の語り口を踏襲しているようです。サゲの可笑しみもなにやらゆかしい、まるで松の木を眺めるような「本寸法」の江戸落語をお楽しみください。

[収録：2008年2月2日　コア石響（東京・四谷）]

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プロフィール

柳家小満ん

落語家

1942年、横浜市出身。東京農工大学繊維工学部に入学するが、八代目桂文楽に魅せられて大学を中退し、61年、内弟子として入門。文楽が心服していた歌人・吉井勇に因んで前座名を「桂小勇」と名乗る。65年、二ツ目に昇進。71年、桂文楽が死去し、五代目柳家小さん門下へ移る。73年、NHK新人落語コンクール最優秀賞受賞。75年真打昇進、「三代目柳家小満ん」を襲名。文楽の「艶っぽさ」と小さんの「滑稽」の両方を譲り受け、俳句をたしなみ文章を書く粋な噺家としても有名。著書『べけんや（わが師・桂文楽）』（河出文庫）は、文楽の粋な芸と人物を弟子の目から愛情をこめて描く好著。隔月の独演会は30年以上継続中。趣味はオペラ。出囃子は「青海波」。