心に引っ掻き傷を残す文章を:with 岡田憲治客員教授
天才コラムニスト・小田嶋隆のライティング講座は、
文章のスキルは当然として、ライティングに必要なすべての要素を伝授する全6回。
「言葉の運営について、いまいちど考えなおすという作業は、
書くのが商売の人間ばかりでなく、小学生から横町のご隠居まで
普通に生活する誰にとっても、けっして無駄にはならないはず」
毎月1回100分間の小田嶋せんせいの講座と、逸材の客員教授との45分間の対談。
* * * * * * * * * * * * *
第2時限めのテーマは、要約・描写です。
1/3:
日本の学校教育では、文章を上手に書く、自分の思っていることや見たものをそのまま人に伝える文章を書く、
というテクニックを教えることを目指してこなかった、と小田嶋先生は語り出しました。
「人の作ったものを、ある長さで要約して、それをかいつまんでまとめる能力は、実はいちばん基本的な
会話能力でもあれば、文章を書く能力でもあって、それが身についていないことには、その先に行けるはずがない。
それが身に着いて初めて、何かを文章で人に伝えることができましたという一段階目の免状をもらえるわけで、
そこでようやく自分の頭の中にわだかまっている感情だったり思想だったり、より抽象的でもやもやしたものを
かたちにして外に表現する段階に入れるはずなんです」
ものごとを要約して可不足なく表現することは、簡単なようでいて深遠な能力。
要約が適切か、周りの邪魔をしていないかは、文章の単位をつくる最も初歩的な歩行能力みたいなものだと言います。
ここには推敲の問題も入ってきました。
「文章というのは、初見でいきなり読んでもらって、読み捨てにされて、なおかつ心に残るんでなかったらダメなのかもしれない。10回読んでもらって真価がわかるものもあるかもしれませんが、それは10回読んでもらえる特権を持っている不思議な人たちですよ。そういう特権階級にいない者は、初読で読み捨てられるなかでも、ちゃんと心に一個か二個の引っ掻き傷を残すようなことをしなくては」
2/3:
休憩をはさんで、あらかじめタコ足ライティング教室の通学生が、メーリングリストに提出した
要約の課題をとりあげて、実践的で具体的な実習が展開されています。
スタンダールやアガサ・クリスティ、コナン・ドイル、夏目漱石といった東西の文学作品や、
ウッデイ・アレン監督映画、コミックやテレビドラマ、新聞記事、etc.…といった、
多様なエクササイズを、炸裂する小田嶋節でお楽しみください。
3/3:
客員教授対談は、政治学者の岡田憲治さん。
岡田先生には『静かに「政治」の話を続けよう』『言葉が足りないとサルになる』などの
著書があり、言葉をまとも運用する啓蒙家とも言えます。
「大学で導入教育を担当していますが、それは簡単に言うと、中学7年生を大学1年生にするためのプログラム。
ひどいひとは、サルを人間にすると。ま、そういうことは言っちゃいけない(笑)。
学生はフィーリングではなく、論旨=言いたいことを書けと、これに根拠をつけてセットで言う心の習慣をつけなさい
と、18歳に教える。すべての始まりです。ですけれども……」(岡田)
「じつに良い話をしているんですけれども、結局精神論になっていくのがツラいですね(笑)」(小田嶋)
■この音源は、2014年2月27日にリアル授業を収録したものです。
■コラムがコラムであるためのスピリットと効能を知るオリエンテーションと、
第1時限も、下記配信中!
http://www.radiodays.jp/item_set/show/718
http://www.radiodays.jp/item_set/show/719
《携帯電話・スマートフォン(iPhone、Xperia等)、通信機能内蔵タブレット(iPad、GALAPAGOS等)、通信機能内蔵音楽プレーヤー(iPodTouch等)等へは「ダウンロード及び保存」はできません。お手数ですがパソコンでダウンロード後、お手持ちのデバイスへ同期頂き、お楽しみください。なお一部(聞く教科書・聞く聖書)DRM付きWMA音源がございますが、DRM対応の携帯音楽プレーヤー以外では再生できません。》