「月刊 中島新聞」2013-2月号 ゲスト：新 雅史（全巻セット）

商店街はなぜ必要か

2月においでいただいたゲストは、新雅史さん。
昨年『商店街はなぜ滅びるのか』(2012年 光文社新書)を出版し、大きな話題になっています。

新さんによると、商店街の歴史は案外浅く、第一次世界大戦後に都市に流入してきた離農者によって構成されたのが始まりです。
彼らは協同組合や公設市場、デパートに対抗するために異業種で連帯し、空間的集約を図っていきました。
商店街に行けば、一か所で日用品が揃うという「横のデパート」を目指したのです。

この形態は消費者のニーズに合致し、商店街は急速な発展を遂げました。
戦後も戦地から帰ってきた人々が都市部で小売商を開業し、商店街は拡大の一途を遂げます。
しかし、その栄光は長くは続きませんでした。
1960年代から70年代にかけてスーパーが進出すると、商店街は窮地に立たされます。

商店街の対抗策は、規制の強化による既得権益化でした
彼らは自民党に陳情し、1973年に大規模小売店舗法の制定にこぎつけます
商店街は大規模スーパーを排除することで、危機を克服しようとしました。

しかし、大手資本は簡単には引き下がりません。
大店法に引っかかることなく、商店街に進出する方法はないか？　
この格闘の中で誕生したのがコンビニでした。大手資本は商店街の酒屋などを勧誘し、フランチャイズ化によるコンビニ転換を進めていきました。
結果、手軽でスマートな万屋（よろずや）が誕生したことで、商店街の危機は加速します。

新さんは、商店街の原点に戻るべきだと訴えます。
もともと商店街は、都市に流入してきた「よそ者」によって構成されました。
しかし、年月が経つにつれ非親族を排除し、若者の新規参入を阻んできました。新さんは、商店街の原点回帰によって既得権益化を脱し、「開かれた空間」への転換を訴えます。

商店街に未来はあるのか？　
あるとすればどのようなヴィジョンを持つべきか？
　具体的にどうすればいいのか？
番組では、商店街の特質をじっくり議論し、これからの未来像を語り合いました。

商店街問題に関心がある方、社会的包摂や居場所問題、若者の雇用問題、被災地の復興問題などに関心がある方は必聴です！
約1時間の対話を聴いていただければ、商店街問題の核心部分は理解できると思います。


◎今月の時評コーナーでは、「安倍内閣と公明党・創価学会」について論じました。



■今月の一冊■
中北浩爾 著『現代日本の政党デモクラシー』



中島岳志

〓〓〓 2013年3月21日、Ust配信時の一部アーカイブです 〓〓〓〓

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