1　鈴木茂の世界（4）

ダグ・ローチにだまされた？

　はっぴいえんど解散と、あらたに結成されたティンパンアレーの「誤算」が語られた前回。今回はいよいよ鈴木茂さんのソロ・アルバムの話題です。
　初のソロ・アルバムとなった『BAND WAGON』。当時の音楽界には、ジェフ・ベックの『ブロウ・バイ・ブロウ』に代表されるようなジャズ志向があって、それをどうやってアルバムに取り入れるかが課題だったと鈴木さんは語ります。そして一番参考になったのは、意外なことにスティービー・ワンダーの音づくりだったことが明らかになります。
　『BAND WAGON』のリズム面の魅力は、ベースのダグ・ローチの力のよるものが大きいと鈴木さん。しかしそのダグ・ローチに対し、音楽とはべつの部分で「だまされた？」と思った瞬間があったことを告白します。単身L.Aにわたってレコーディングを成し遂げた鈴木さんの、苦労の一端をのぞかせるエピソードです。
　『BAND WAGON』の後、ハックルバックを組んだ鈴木さん。そして発表されたソロ・アルバムが『LAGOON』でした。このアルバムには「裏切られた」というファンも多かったといいます。『BAND WAGON』と『LAGOON』の二つのアルバムの間に起こった変化が語られ、インタビューはついに最終回へと続きます。
インタビュアーは音楽評論家の北中正和さんが務めています。

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