小田嶋隆のグラフィカルトーク3

アートか迷惑か、落書きの芸術論

　民家のドアに書きなぐられた、意味不明の文字。80年代に米国で生またグラフィティと呼ばれる落書きが、日本の街にも増えています。このようなストリート・アートは街を汚す破壊行為でもありますが、その中からキース・へリングやジャン＝ミシェル・バスキアのような才能も発見されてきました。今回のテーマは「芸術とは何か」。グラフィティについては「うまく描けていようが落書きは落書き」とする否定派と、「迷惑でも優れたものは認めよう」とする擁護派が対立しています。
　この問題を解く鍵として小田嶋さんが紹介するのは「芸術とはそもそも迷惑なもの。迷惑じゃない芸術は価値がない」という友人の言葉。この友人が画業以外の一切をしない（あるいは奥さんに生計を依存する）本物の画家であるという話から、話題は芸術家論へと展開します。一芸を極めるには「他に何もできない」という能力が必要だと主張する小田嶋さん。何でも器用にできる人にとって、プロの道は遠いようです。

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