vol.2 鈴木創士【中島らも『バンド・オブ・ザ・ナイト』を読む】〔聞き手：林英世〕

鈴木創士(フランス文学者・作家) 林英世(女優)

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	vol.2 鈴木創士【中島らも『バンド・オブ…	-
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本ばかり読んでいる、憂鬱な男だった

ネットも映像もよいけれど、ゆったりと書物の扉をひらいて
自分のペースで読みすすめていく時間はなにものにも代えがたい。
このシリーズでは、さまざまな読み巧者がふたり向き合って、
出会いも含めた「この本！」について、深くじっくり語り合います。
月に1～2回のペースでリリースしていきますので、
どうぞよろしくおつきあいください。

第2回目は、去る2004年、52歳にして逝った、作家でありミュージシャンでもあった、中島らもの作品です。
ソレルス、アントナン・アルトーなど多数のフランス文学翻訳も手がける
鈴木創士さんが、初めてらもさんと出会ったのは、まだ十代の頃、
無名の詩人や学生たちが入り浸る神戸のジャズ喫茶でした。
高校生だったらもさんの第一印象は「本ばかり読んでいる、憂鬱な男だった」。

誰より〈中島らも〉を知る鈴木さんが選んだ一冊『バンド・オブ・ザ・ナイト』
は、作者自身が最も好きで、にもかかわらず最も売れなかった作品でした。
ジャンキーたちが引き起こす悲喜劇を濃密に描いた衝撃作です。
鈴木さん曰く「毛色の違う彼全部が出ている感じ」のこの本と作家について、
やはり中島作品の熱心な読者である、女優の林英世さんが語り合いました。

バッドチューニングと思われがちの中島らもの、端正なありようや身体性が
彷彿とする、親密なブックレビューです。

【vol.2の本】

　■中島らも『バンド・オブ・ザ・ナイト』
(講談社 2000年5月刊・絶版)（講談社文庫 2004年2月)

　

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鈴木創士(すずきそうし)

フランス文学者・作家

1954年兵庫県まれ。作家、フランス文学者。翻訳家、作詞家。

2011年5月、30年の沈黙を破り再結成される伝説のバンド「ＥＰ－４」ではキーボードを担当する。中島らもの著作に「エス」「Ｓ」「フランス文学者」として登場する。
切れの良い文章で、数々の作品を生み出している。

著書に『アントナン・アルトーの帰還』『魔法使いの弟子』『サブ・ローザ　書物不良談義』(現代思潮新社)、『中島らも烈伝』(河出書房新社)、『ひとりっきりの戦争機械』(青土社)他。
監修書に『アルトー後期集成』(共同監修、河出書房新社、共訳)。
訳書にエドモン・ジャベス『問いの書』(水声社)、『歓待の書』(現代思潮新社)、フィリップ・ソレルス『女たち』(河出文庫)、『サド侯爵の幻の手紙』(せりか書房)、アントナン・アルトー『ロデーズからの手紙』(共訳、白水社)、ジョルジュ・バタイユ他『無頭人』(共訳、現代思潮新社)、ジル・ドゥルーズ『無人島』(共訳、河出書房新社)、ジャン・ジュネ『花のノートルダム』、アルチュール・ランボー『ランボー全詩集』(河出文庫)他。

ツイッター　http://twitter.com/sosodesumus
現代思潮新社　http://www.gendaishicho.co.jp/　※コラム「鈴木創士の部屋」読めます。

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林英世(はやしひでよ)

女優

1963年大阪府岸和田市出身。　同志社大学文学部卒。　女優。

マキノノゾミ主宰劇団Ｍ.Ｏ.Ｐ（2010年惜しまれつつ解散）に立ち上げから参加。劇団では存在感ある女性サブキャラクターを演じる。プロデュース公演など舞台出演のほか、テレビ、映画、ラジオに出演、演出、俳優養成にも力をいれ、その活動の幅を広げる。

2001年より始めた「ひとり語り」は「映画のように言葉が立ち上がる」と好評を得ている。また、「声と言葉の表現教室」（現在はお休み中）を主宰し、一般の方にも「身体と声」｢文字と言葉｣の可能性を広める活動を展開。

2011年ＮＨＫ大阪局制作の連続テレビ小説「カーネーション」の岸和田ことば指導を担当。現在岸和田市在住。「来た球をとにかく打つ！」をモットーに、今後も、表現活動を幅広く展開する予定。

主な出演作:
映画「パッチギ！」(井筒和幸監督作品)、ＮＨＫ「芋たこなんきん」「風のハルカ」「下流の宴」。
舞台「セパレートテーブルズ」（テレンス・ラティガン作　マキノノゾミ演出)、「夢の人」(わかぎえふ作　マキノノゾミ演出)など。

林英世ブログ「ふつうがえらい！」　http://hideyon.exblog.jp/
ツイッター　　https://twitter.com/#!/hideyohayashi