渡辺祐真／スケザネの「現代文学」から考える「世界」と「言葉」～作品の読み方から感想の書き方まで～　第九回

対話でまなぶ幻想文学入門

書評家・スケザネさんによる書評講座！
著書『物語のカギ』（笠間書院、2022年）では「物語」を読む楽しみ、そのためのキーワードを幅広い層に向けて書き、現在、毎日新聞文芸時評やTBSラジオ「こねくと」のレギュラーも担当されているスケザネさん。
この講座では、今まさに生まれている小説や詩歌を毎回一つ取り上げ、スケザネさんによる丁寧な読解の提示、またその作品の感想を書く、相手に伝えるときのカギを教えていただきます！
第九回目では特別ゲストに作家・評論家の高原英理さんをお迎えし、「対話でまなぶ幻想文学入門」と題して、さまざまな側面から「幻想文学」とは何か、その魅力や読み方、楽しみ方などお二人に語り合っていただきます！

=講師・スケザネさん、ゲストの高原英理さんからのコメント=
【高原英理さんからのコメント】
どうしてそう呼ばれるようになったのか、 なんか読んでいいことあるのか、書く人はどんなことを望んで？　など。
詳しい方も詳しくない方もこの機会に改めて考えてみましょう。

【渡辺祐真（スケザネ）さんからのコメント】
皆さんは幻想文学についてどのようなイメージをお待ちでしょうか。
神秘や妖精、モンスターを描いた小説群、何か不思議なことが起きる小説、泉鏡花や夢野久作や山尾悠子といった作家たち…。
様々なイメージが浮かぶ方もいれば、その一方で幻想文学はあまり読まない、よくわからないという方も少なくないはずです。
しかしそれはあまりにもったいない！
幻想文学はただの空想などではなく、人間の想像力の豊穣さが光り、時にリアリズムよりも鋭く現実をえぐる、奥深いジャンルです。
そこで今回は、作家・評論家の高原英理さんをお迎えして、幻想文学の魅力や楽しみ方についてたっぷりとお話を伺います！
高原さんは『ゴシックハート』や『月光果樹園―美味なる幻想文学案内』といった評論集、更に『エイリア綺譚集』や『祝福』といった小説群も手がけられており、理論と実践の両面から長く幻想文学を牽引されています。
そんな高原さんから、実作、批評、歴史といった様々な側面から幻想文学についてお話しいただきます。
幻想文学に興味がある方、全く読んだことない方、大好きな方、ぜひお聞きください！

・科学への信頼が現在の幻想文学の基準となっている
・幻想文学の黎明期はゴシック・ロマンスと考えられる
・驚異(merveilleux)と怪奇(étrange)の間にあるのが幻想文学（ツヴェタン・トドロフ）
・人間精神が科学やこの世界に挑戦し、凌駕しようとしている
・二つの大戦を経て幻想文学はどう変わったか
・幻想文学はミメーティックなだけの文学を攪乱する決め手である（ローズマリー・ジャクスン）
・実際にある人間の関係や心理が問題ではなくなる何かをふと得ることができる
・幻想の最小単位は比喩である
・日本で批評の用語として幻想文学・幻想小説が使われ始めたのは1970年代から
・日本文学における翻訳の重要性
・幻想文学の具体例的なアンソロジーである澁澤龍彦編『暗黒のメルヘン』
・90年代以降の日本における幻想文学シーンについて
・80年代における村上春樹の登場と批評界の動向
・景気が良いとリアリズムへ、景気が悪いと幻想文学へ流れる
・90年代以降の京極夏彦や笙野頼子らによる転換点
・短歌や現代詩など諸ジャンルにおける幻想の受容
・泉鏡花賞が幻想文学にとって何らかのサインとなりうるかもしれない

【質疑応答】
・フィクションにおいて暴力をどう描くか
・幻想文学と妖怪文学や怪異譚などとの違い
・文学、特に幻想文学における差別の問題について

などなど
ぜひお聞きください！

※ 本音源は2023年12月13日に収録したものを編集しております。

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