平川克美 著者と語る　第二十五回　ゲスト　中島京子

名作『やさしい猫』はいかにしてできたのか？

隣町珈琲ブックレビュー対談 平川克美「著者と語る」第25弾開催！

今回は小説家の中島京子さんをお迎えしご著書『やさしい猫』(中央公論新社)についてお伺いします。

シングルマザーのミユキさんが好きになった人はスリランカ人の自動車整備工のクマさん。二人は惹かれ合い付き合い出し穏やかな生活が始まり、やがて入籍へ。しかしある日クマさんは仕事を失いやがて在留資格も失ってしまう。入管に相談に行くところを警察に捕まり、不法滞在の罪で何ヶ月も拘留、やがてクマさんは尊厳を奪われ、心身が衰弱していく。クマさんを救い出そうと奔走を始めるミユキさんや語り手の娘マヤがみたものは在留外国人が置かれた理不尽で過酷な状況だった。。

ウィシュマさんの尊い命が奪われ、市民団体や報道から世論が高まり日本の入管の問題は今大きく浮き彫りになりました。
しかし、そんな中先日、国内外からその問題を指摘されながらも「改正入管法」が強行採決され、ますますこの日本は国を追われた難民を受け入れづらく、また在留外国人にとって住みづらい国になってしまいました。
今回はこの在留外国人の入管問題をいち早く取り上げ小説にし、また現在TVドラマでも放送され大きな話題をよんでいるこの『やさしい猫』の著者中島京子さんをお招きします。現在の入管問題について、また歴史や広く社会の問題を取り上げ、数々の賞を受賞されている中島さんの作品について、その制作過程や思い、また中島さんご自身についてなどなど、平川克美がゆっくり伺います。


・『やさしい猫』の構造のすごさ
・中島京子作品にある“ある仕掛け”
・入管の問題に興味を持ち、書こうと思った理由
・社会問題や政治的な問題もテーマにする中島作品
・『長いお別れ』のベースにある中島さんの父の介護
・中島京子さんはどういう風に育ったのか？
・小説を書くことを禁止された中学時代
・中島さんの育った団地の均質性
・中島さんに影響を与えた漫画と少女漫画家の姿勢

［質問コーナー］
・難しい入管法問題を小説に入れる苦労とは？
・クマさんの恋愛物語としての『やさしい猫』
・登場人物はどこから発想するのか？
・なぜ主人公をスリランカ人にしたのか？
・タイトルや全体のコンセプトはいつ決まったのか？
・取材と書いている時間の割合は？

などなど

（この番組は2023年7月29日、隣町珈琲にて収録しました）

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