小田嶋隆のグラフィカルトーク5

日本橋の珍獣、夜郎自大の東京

　東京日本橋の両端に設置された、不思議な動物像をご存知？
　「三越のライオンと神社の狛犬の間に生まれた不義の子」というのは小田嶋さんらしい表現。正体は、日本の狛犬や西洋のライオン像などを参考にしながら、1911年（明治44年）に制作された獅子像なのだそうです。獅子が前足をかけているのは、当時の東京市のマーク。守護神のつもりとはいえやや威丈高なムードは、軍国主義に傾斜する当時の時代背景を表しているのでしょう。
　都市が尊大なアイデンティティを持つとロクなことがないと警告する小田嶋さん。都市は国家よりも簡単に暴走しがちで、おかしな首長が市民を奈落へと先導する危険がいつも潜んでいます。
　東京オリンピックの招致に反対するのは、45年前に横行した強引な区画整理を憶えているから。為政者はいつも大義名分のもとで色々な無茶をやりたがっているもの。「首都大学東京」や「新銀行東京」というネーミングの、押し付けがましい自意識過剰にも小田嶋さんは我慢がならないのです。

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