戦後落語家論1

落語もゲームも自己表現！

　ラジオデイズ一周年記念特別対談三連発イベントの第一部。
　落語史を語る上では「円丈以前、円丈以降」ということばが用いられます。そんな新作落語界のランドマーク・三遊亭円丈師匠と、『仏の遊び』など数々の新作落語の傑作を世に送りだした本田久作さんによる、痛快対談のスタートです。
　「尊敬する噺家は円生と三平の2人しかいない」という円丈師。林家三平のオーラと命がけの芸人魂、目づかいひとつで高座に燃え盛る炎を出現させた6代目円生の芸の境地を紹介します。そして円生の「芸は砂の山だ」という言葉の奥に隠された、円丈師が古典をやらない理由を告白。おおいに会場を沸かせます。
　新作をつくるのが大好きという円丈師に対して、本田さんは「改作しすぎですよ」とひとこと。「同じことができない」という円丈師は何よりも変化を求めます。だからパソコンにも飽きた師匠の今のお気に入りは、つねに変化を続ける東京のある場所。いつかはそこを舞台にした映画を撮りたいと夢を語ります。かつてPCゲームのシナリオを書いたこともある円丈師にとって、表現手段はなんでもアリという姿勢。落語も自己表現のひとつだということが明らかになっていきます。

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三遊亭円丈(さんゆうていえんじょう)

落語家

1964年に三遊亭円生（六代目）に入門し、「ぬう生」となる。69年に「ぬう生」のまま二つ目に昇進。78年の落語協会分裂騒動の際に、円生と決別して落語協会に残留する。同年「円丈」を襲名して真打に昇進。71年ごろから新作落語の旗手として活動を続け、今や実験落語の教祖的存在である。マッターホルンの山頂から出前を頼まれたうどん屋の顛末を描く「遥かなるたぬきうどん」など、ナンセンスなシチュエーションから生まれる笑いをじっくりと語り、観客を爆笑の渦に叩き込んでいる。86年には落語協会分裂騒動の内幕を実名で書いた『御乱心』がベストセラーを記録。96年には日本参道狛犬研究会を設立し、会長に就任。全国各地の寺社を巡るフィールドワークを行うなど、精力的に活動している。本名・大角弘、1944年、愛知県生まれ。落語協会所属。

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