「こころカフェ」season3 第6回―わかってくれない―（全巻セット）

人間の深奥を探求する精神科医・名越康文先生の連続講座、season3です。

season1では、心の様相について理解を深めました。
season2では、心が作り出す様々な問題や闇(病み)と風景、メンタルヘルスの実際などを学んできました。
今期、わたしたちの心の偏り、認知の歪みを知ることによって
さらなる「心の取り扱い法」を身につけていきます。



第6回のテーマは〝わかってくれない〟です。

「ぼくたちは、瞬間、瞬間、瞬間に〝わかってほしい！〟の連続なんです」
　
わたしを、わかって、わかって、わかって！ という渇きは、
わたしたち現代人をいちばん苦しめている欲望なのかもしれません。
　
わたしたちが求めているのは、心理学用語では「共感」と呼ばれます。
医療現場でも学校でも家庭でも「共感」は基本前提になっています。
共感は勇気を呼ぶ。勇気の原動力である。
人が今一度ひとりで立とう！というために共感が必要とのこと。
しかし、精神科医になった当初から、名越先生はこの言葉に違和感と矛盾を感じていました。

共感と同情の違いの考察。
「ぼくはその人の気持ちをわからない、勝手なことを言ってる他人です。
　でも、同情心が湧いてきちゃった。自分の中の後ろめたさを一応担保して言う。同情しかできないな、ごめんねって」
同情には魂胆があるか、あるいは立ち位置が違う。光り輝く理想もない。
それでも、同じ情をもつこの言葉は好きだと名越先生は言います。
それに較べると「頑張れ！」の代わりに台頭してきた「共感」という言葉は、
上から目線で、いかにも近代的だと。

名越先生には、臨床のなかで得た確信があります。
「わかってほしいという願いの、本当の奥の欲望は、勇気を与えてほしいということ」
「人間は自分で動ける。自分一人でやれる！という勇気が湧いてきたときに、わかってもらえたと思うんです」
「わかってほしいという欲望は、なにか大きな転機を求めていること」

ここから、人との関係性について考察を深める2時間でした。
受講生からの質問も、普遍性のある問いかけで、
〝わかってほしい〟わたしたちに再考を促すものでした。



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■これまでの「こころカフェ」season1、season2、season3のアーカイブは、こちらです。
http://www.radiodays.jp/series/show/43


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http://www.radiodays.jp/community/show_event/148
名越康文の連続講座「こころカフェ」season４ 第1回
4月30日 19時からです。

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