たぶん月刊「はなし半分」2010－7月号（全巻セット）

前近代そのものの相撲、国民国家を映し出したサッカー

今回は大阪、堂島にある株式会社１４０Ｂにて収録。この間、沖縄普天間問題や、死についての重たい話が続いていたが、今回は相撲とサッカー。
相撲に関しては、この度の野球賭博問題を取り上げたのだが、ほとんどのひとびとがこれをスポーツであると勘違いしている。
神事であり、芸能であり、呪術であり、格闘技であり、そのいずれでもないような儀式である相撲こそは、前近代そのものが圧縮された行事であり、近代的なスポーツ史観から見れば相撲は不合理と矛盾に満ちた問題そのもののように見える。
その不合理と矛盾を、近代の中に生きさせるためには、かつての双葉山のような人物が、あらゆる不合理を俗人的な身体性で支えてきたという内田の卓見は面白い。
サッカーは、相撲と対極にある近代的スポーツだが、この度のワールドカップは、その近代国家、国民国家というものが何であるかを鮮明に映し出していた。南米やヨーロッパの小国が大国と対面勝負をしている光景。サポーターの民族色濃い衣装。戦術の国民性。日本の活躍もあって見所満載の大会であった。
どちらも、格技とスポーツを論じたものだが、それ以上にこの二つのイベントに対するメディアの評言に対して舌鋒鋭い批判が加えられている。
どちらかといえば、二人にとっては気楽なテーマだったが、それゆえに自由に大胆な方言、珍言が飛び交う楽しい対談となっている。

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