安田登の「『源氏物語』とその魅力」第1回（セット）

オペラ『ドン・ジョヴァンニ』と『源氏物語』

　世界の傑作『源氏物語』。
　しかし「光源氏ってひどい男」と思っている人も多いのではないでしょうか。あんなひどい男を主人公にする『源氏物語』が、なぜこれほど人気なのか。その理由をさまざまな視点から考えていきます。しかも、王道ではなく変格アプローチで迫る講座です。
　オペラ『ドン・ジョヴァンニ』との比較、「来訪神」としての光源氏、物語の中のまばゆいばかりの色彩、匂い立つ香り、雅なる音、そしてそれらが融合された五感という言葉では表現できないほどの感覚世界、『源氏物語』から生まれた2.5次元作品等々、いろいろなアプローチから『源氏物語』の魅力に迫ります。ちなみに『源氏物語』から生まれた最初の2.5次元作品は「能楽」ですので、むろん能の中の『源氏物語』のお話もします。

　第1回はモーツアルトのオペラ『ドン・ジョヴァンニ』と『源氏物語』を比較します。
　光源氏もひどい男ですが、オペラ『ドン・ジョヴァンニ』の主人公ドン・ジョヴァンニ（ドン・ファン）は光源氏以上にひどい男です。
　しかし、『ドン・ジョヴァンニ』はモーツァルトのオペラの最高傑作と言われます。なぜなのか。それは、むろんモーツァルトの音楽の素晴らしさにあります。本講座ではオペラ『ドン・ジョヴァンニ』のあらすじや、中で歌われる「カタログの歌」を皆さんと口ずさんだりしながら、このオペラの魅力に迫りつつ、『源氏物語』と比較します。『ドン・ジョヴァンニ』をまったく知らない方を対象にお話しします（詳しい方にはちょっとつまらない内容かも）。キェルケゴールやジョルジュ・バタイユの『ドン・ジョヴァンニ』論も紹介しながら、『源氏物語』に迫ります。
　今回は、前半に朗読で榊原有美さん、笙で名和紀子さん、後半に歌で香西克章さん、バイオリンで本郷幸子さん、ピアノで金沢霞さんが参加されています。


・なぜひどい男の物語が読み継がれるのか
・光源氏を人間だと思わず、来訪神として考える
・光源氏は竹取物語の流れを汲んでいる
・「面白」とは「目の前がパッと明るくなる」こと
・「源氏物語」における官能（＝感覚器官）の表現の重要性
・「あはれ」／「源氏物語」／情動と「をかし」／「枕草子」／感情の違い
・アーサー・ウェイリー版の「源氏物語」は原文の文体の美しさが反映されている
・さまざまな官能の共演がモーツァルトの音楽や「源氏物語」に見られる
・「源氏物語」はゆっくり深く読んでいく物語
・モーツァルト『ドン・ジョヴァンニ』への印象
・光源氏の時代もドン・ジョヴァンニの時代も顔はどうでも良かった
・「カタログの歌」が『ドン・ジョヴァンニ』のなかで最も重要な曲（キルケゴール）
・キリスト教を信じていないことがドン・ジョヴァンニの凄さ
・「カタログの歌」における「1003」という数字の意味（キルケゴール）
・日本語訳の「カタログの歌」が歌いにくい

などなど
ぜひお楽しみください！

※ 本音源は2023年7月20日に収録したものを編集しております。
※付属のPDFは音源と併せてご覧ください。
※一部音声に聞きづらい点がございます。あらかじめご了承ください。

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