渡辺祐真／スケザネの「現代文学」から考える「世界」と「言葉」～作品の読み方から感想の書き方まで～　第三回

第三回　小川哲『君のクイズ』を読む

書評家・スケザネさんによる書評講座！
著書『物語のカギ』（笠間書院、2022年）では「物語」を読む楽しみ、そのためのキーワードを幅広い層に向けて書き、現在、毎日新聞文芸時評やTBSラジオ「こねくと」のレギュラーも担当されているスケザネさん。
この講座では、今まさに生まれている小説や詩歌を毎回一つ取り上げ、スケザネさんによる丁寧な読解の提示、またその作品の感想を書く、相手に伝えるときのカギを教えていただきます！
三回目に取り上げる作品は直木賞作家・小川哲さんによる話題作、『君のクイズ』（朝日新聞出版）。スケザネさんが書いた『君のクイズ』の書評が一度ボツになってしまったという、ここでしか聞けない話も盛りだくさんです。

=講師・スケザネさんからのコメント=
　今回は、直木賞を受賞された小川哲さんの『君のクイズ』を扱います。クイズ番組の決勝戦で、なんと問題文が一文字も読まれないうちに、正解するという珍事が起こる。
　いったい、なぜ問題を聞かずに正答できたのか？
　その謎を追う内に、物語は思わぬ展開へと向かう…。
　本屋大賞にノミネートされ、多くの著名人が絶賛を送る傑作ですが、いったいどのように読むことができるのか。
　面白さの秘密、現実のクイズ大会、作家・小川哲など、様々な角度からこの作品に迫ります。

・『君のクイズ』のあらすじと概要
・エンタメ小説の書評を書く難しさ
・書評とは何かを考えることになった『君のクイズ』の書評
・クイズプレイヤーと出題者の信頼関係
・自分の知識を使っていかに上手く答えるか
・文学作品を深く読む（あるいは書評、批評する）ための二つの方法
・作品外の知識に頼ることは諸刃の剣になってしまう
・鍵穴のないところにカギをささない
・書評家とはどのような職業か——作品との主従関係
・作品に沿って論を展開すること
・読んで引っかかった部分にきちんと立ち止まる
・語り手のバイアスに自覚的になる——小説作品の人称について
・自分の価値観と対象とするものとのなかでどう切磋琢磨するか
・作品に共鳴できることはひとつの才能

……等々

［参考文献］
・小川哲『君のクイズ』（朝日新聞出版、2022年）
・渡辺祐真「問題：我々は時代の勝者と敗者をどのように決められるか？　——⼩川哲『君のクイズ』論」（「小説トリッパー」2022年冬号、朝日新聞出版、https://note.com/asahi_books/n/n8457182eb31f?magazine_key=md579c88b1bac）
・渡辺祐真／スケザネ『物語のカギ』（笠間書院、2022年）
・「アンソロジスト vol.5」（田端書店、2023年）
・古谷田奈月『フィールダー』（集英社、2022年）

※本音源は2023年5月13日に収録したものを編集しております。
※今回、付属のPDFはございません。
※一部音声に聞きづらい点がございます。あらかじめご了承ください。

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