1　鈴木茂の世界（5）

ジャンゴ・ラインハルトのように

　鈴木茂さんの音楽の軌跡をたどる5回シリーズもついに最終回。今回はアレンジャーとしての仕事がしだいに増えていった、1970年代後半から話は始まります。
　ソロ・アルバム『LAGOON』発表以降、アレンジャーとしての仕事が飛躍的に増えていった鈴木茂さん。しかしギタリストにはつらい時代だったと回想します。そのためなのか、当時、音楽以上に鈴木さんがはまっていたのが、なんと乗馬でした。乗馬とギターには意外と共通点が多いのだとか。
　アルバム『Caution!』でボップな世界を展開した鈴木さんは、1985年発表の『SEI DO YA』では一転して、ポリスを意識したというモノクロの世界を打ち出します。その後もインスト・アルバム『WHITE HEAT』や岩合光昭さんの写真とのコラボ作品などを手がけ、「あんまり売れなかったけど」と前置きしつつ、プロデュースしたなかでは「もっとも印象に残っている」という、ある女性ボーカルのアルバムを紹介します。
　2000年に活動を再開したTIN PANについて、鈴木さんは、その音はロックでありながらも、音づくりの方法としてはむしろジャズに近いと分析します。そして音づくりの楽しさの半面、ミキシングに関するジレンマについて語るのでした。
インタビュアーは音楽評論家の北中正和さんが務めています。
　ロングインタビューもいよいよラスト。最近気になっているギターはジャンゴ・ラインハルトだという鈴木さん。ジョージ・ハリスンなどの例をあげながら、めざすギタースタイルは「音の数をなるべく少なくすること」だと表明するのでした。

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