第十一帖　花散里

1878年、大阪府堺市の菓子の老舗に生まれる。堺女学校を卒業後も、『文学界』や鴎外の『しがらみ草紙』などを購読し、河井酔茗らの同人雑誌『よしあし草』に和歌や詩を投稿。1900年、東京で与謝野鉄幹が『明星』を創刊し短歌革新運動を開始すると、第2号から同人として投稿を続ける。同年の大阪での講演会を機に晶子は、妻子ある鉄幹と激しい恋に落ち、周囲の反対を押し切って翌1901年に結婚。同年処女歌集『みだれ髪』を発表。一躍明星派のスターとなった。1904年、「君にたまふこと勿れ」を発表、危険思想と見なされ論争を呼ぶ。1909年から『源氏物語』口語訳の執筆を開始。1912年に夫と渡欧し、帰国後は積極的な評論活動を展開。女性の経済的自立を主張し、平塚らいてうら女性保護論者と対立した。10年、文化学院の学監となり、『源氏物語』を講義。1940年脳溢血で倒れ、2年後に65歳で死去。鉄幹との間に13人の子を産み育て、生涯に読んだ歌は5万首に上る。その才能と存在感は紫式部と比肩される、日本文学史上に傑出した大輪の花だった。